リリーフランキーがこんな長編を書くなんて、正直、驚きだったんです。
『東京タワー ~オカンとボクと、時々、オトン~』
周りからの評判が凄く良かっただけに、読み始める前から奇妙な不安と抑止のきかない期待が入り混じって少々緊張していたのですが、読み始めるとすぐに
その不安の方は打ち消されて、久々に本による高揚感でいっぱいになっていました。
どんどんどんどん読み進んで、活字の上で繰り広げられるリリーフランキーの世界に、
彼が住んでいた九州に、その時代に、タイムスリップしたような感覚でした。
軽快なリズムに巧妙な語彙で笑いを誘う場面も多々あって、部屋でひとり爆笑したりもしました。 まじうけんなー って。
しかしさすがに、母が死にゆく場面にさしかかってからの ラスト100ページは、
ぶっつづけで涙と鼻水出っぱなしでした。
「号泣しました!」って田辺あゆみがカバーに書いていたけど まさにその通りだったです。
書籍によく見る芸能人のコメントにはいささか不信感を抱いたりしたけれど、リリーの本だけは別格だといいたい。だって、すっごいいいもの。すっごいいいもの。
あとで読み返したい言葉は、ページの角を折ってわかるようにしました。
噛み締めて、心に留めておきたい言葉が沢山あったんです。
今の私にはまだわからない言葉もあって、不安も残りました。
だけどどういうわけか、読み終わった後の気持ちは 清清しいというか、
とても清らかなものなのでした。
これから自分もおなしように経験しなければならない、親の死 かぁ と。
ある意味での教則本的な立場で ずっと側に置いていたい。 そんな本なんです。